25年ほど前、エンジニアとしてロサンゼルスに駐在していた倉橋さんは、あることに気がつきました。ほとんどのアメリカ人は新聞を定期購読していないのです。当時アメリカはTVニュース戦争の最中。TVをつければ、よりリアルタイムなニュースを入手できるようになっていました。人々は、メーカーの割引クーポンが印刷されている日など、必要なときだけ、新聞を買っていたのです。
そうなるとアメリカ人は地域のお店や買い物の情報をどこで得るのだろう。その答えは倉橋さんのすぐ目の前にありました。地域情報からお店のクーポンまで幅広く掲載する、地域限定の無料情報誌“ペニーセーバー”です。当時の日本では新聞を定期購読している人がほとんどで、地域情報もそこから入手していましたが、倉橋さんは、 “ペニーセーバー”のようなものがあれば日本の読者にも広告主にも歓迎されると考えたのです。 “アメリカでもう成功しているわけですから、日本流のアレンジを間違えない限り、成功するという確信はありました”(倉橋さん)
倉橋さんがまず取り組んだのは、従来の新聞よりも低コストの出版インフラを構築することでした。もともとエンジニアであったこともあり、IT技術の導入を前提に仕組みを構築。他の出版会社に先駆けて、編集作業にもコンピュータを使用しました。そして1987年、情報誌“ぱど”の第一号が創刊されたのです。倉橋さんの予想通り“ぱど”は次第に受け入れられていきました。多数の地域版を出し、発行部数も増加。IT技術の進化を先取りするように導入し、作業のスピードアップや簡略化だけでなく、手作業の工程を大幅に削減でき、人的リソースを他の分野で効率的に活用できるようになりました。
2001年には1,000万部を超え、2002年にギネスブックで発行部数世界一と認定されました。さらに“ぱど”以外のフリーペーパーを創刊し、ウェブサイトもオープン。しかしビジネスの拡大に伴いデータの量も増え続け、“サーバルームに溢れんばかりのサーバの数になって大変だったんです”倉橋さんは語ります。
この状況を解決するために倉橋さんが選んだのがデルでした。膨大な情報処理を必要とする“ぱど”のビジネスニーズを踏まえ、デルは仮想化ストレージを提案。導入後はサーバの台数を縮小でき、メンテナンスの手間や電力コストも減ったとのことです。“期日に雑誌が出ないと広告主様にご迷惑をかける。信頼性にも期待してデルを選んでいます”(倉橋さん)
ますますデジタル化の進む現在、倉橋さんの次のチャレンジは「ポイントカードを発行しないポイントサービス」の実現です。“ぱど”の広告主様の店舗に専用カードリーダーを設置し、お客様はSuica(スイカ)などの既存のICカード類やおサイフケータイを使ってポイントを貯めるという仕組み。“ぱど”のサーバでポイント情報を処理するため、デルとのタッグがより重要になるといいます。このシステムが成功すれば、世界で一番使われるポイントシステムとして、2つめのギネス記録を獲得する可能性も。IT技術を駆使した地域活性化という信念のもと、倉橋さんの新しい挑戦が始まります。
※「Suica」はJR東日本の登録商標です。
※「おサイフケータイ」は株式会社NTTドコモの登録商標です。